【雨の日】

雨の日は憂鬱だ。

昔、銀行員時代にバイクで外回りをしていた時なんか最悪だった。

当時の上司にお客様の家に(玄関も)上がる時はカッパを脱いで、自分のハンカチでよくカバンを拭いてからお邪魔しなさいと教えられた。

お客さんは「着たままでいいのに。」とか「カッパ濡れちゃうよ。」とか心配してくれた。

当然といえば当然だけど、1日に数十軒も訪問するからバイクにひっかけておいてびしょびしょになったカッパを何回も着たり脱いだりしていて、異臭はするし最悪だった。

年末の繁忙期、薄暗い夕方の時間にノルマ達成のために得意先回りで貯金をお願いして回っていたら車にはねられたこともあった。

意識がもうろうとする中、カバンだけは死守したが、血の海を見て再び倒れ込んだのもいい思い出。

救急車で運ばれて病院へ着くと足の骨は当然のように折れていた。整形外科の先生がいないとのことで研修医の先生が簡易的に止血をしてギブスをしてくれた。

朝起きたらベッドが血だらけになっており、翌日に再度手術。

人生初めてオペ室で手術だった。急だったから誰にも見送られることなく病室からオペ室へ。

下半身に麻酔をかけて(この注射が結構痛かった)手術が始まったんだけど、意識は全然あって、看護師さんと先生が何か話しながら足をグイグイしている。足元はお腹の変にカーテンみたいなのがあって見えないようになっていた。

時間は1時間か2時間くらいだったかな?手術が終わり、先生から下半身に麻酔をかけているから、おしっこの感覚がないため尿道に管を入れる話を聞いた。

当時25歳くらいだったから若い女性の看護師さんにやってもらうのは恥ずかしかった。でも、しばらくしてもなかなか上手くいかないようだ。

若い看護師さんA「あれ?あれ?」

若い看護師さん「先生、小さくて中々入りません。」

僕「ZZZ・・・(寝たふり)」

先生「しょうがないから私がやります。」

雨の日は憂鬱だ。